Meray Beauty Channel #56特許取得のボトル
December 19, 2024
「MERAY Beauty Channel」では、MERAY代表の柳本とプランナーの山本が、MERAYの開発の裏側や、スキンケアのさまざまな疑問について対談でお届けしていますが、今回は特別編! MERAYのボトルを製造している龍江精工さんに伺ったので、ボトル製造秘話をデザイナーの千星さんを含めた3人でお届けします。
やなさん = MERAY代表、柳本剛
あづ = MERAYプランナー、山本あづさ
千星=MERAYデザイナー
Meray Beauty Channel
#56龍江精工さんだからこそ
できること
千星さん
龍江精工さんというプラスチックの成形と、金型を作ってくださっている工場に行ってきました。龍江精工さんは少し珍しいというか、面白い工場なんです。金型を作る工場と射出成形する工場は別々のところが多いのですが、龍江精工さんはどちらも同じ工場でやっていらっしゃいます。なので、すごくレスポンスが早く、とても細かい要望にも応えていただきました。
あづ
「射出成形」とはなんですか?
千星さん
金属の型に対して、溶けたプラスチックを圧力をかけて流し込む、という作業を射出成形と呼びます。
あづ
龍江精工さんでは、その作業と金型を作るのを同じ場所でできるということなんですね。
千星さん
そうです。例えば試作品を作るときに、まずはじめに金属の型をつくって、できた金型を射出成形の工場に持っていってボトルの形に成形します。その試作品を検討し調整をしていくのですが、金型を調整する場合には、再度金型の工場に金型を持っていって調整して、再び射出成形の工場に持っていって成形する、といった工程になります。
千星さん
そして再度調整する場合には、また金型の工場に戻して、射出成形の工場へ依頼、というように2つの工場とやりとりをする必要があり、調整するたびに時間がかかるのが一般的なんです。
千星さん
なので、今回のMERAYのボトルのように何度も何度も試作をつくって、何度も何度も調整して細部までこだわってつくることができたのは龍江精工さんのおかげだと思います。
Meray Beauty Channel
#56人の手で作っているボトル
あづ
今回はその金型を作ってるところも、実際に射出成形する現場も見せていただきました。すごくテンションがあがりましたね。
やなさん
楽しかったね。
あづ
MERAYのボトルってピンクなんですが、そのボトルの元になるピンクの原料があって、それが金型に入れられている現場を見ることができたんですよね。
千星さん
こんな感じで作っているんだな、というのを実際に見ることができましたね。
あづ
ボトルの周りに、プラモデルとか作るときについているようなプラスチックの棒のようなものがついていたのですが、あれは何だったんでしょう?
千星さん
それはランナーと言ってパーツとパーツをつないでいるプラスチックの枠です。
あづ
それも自動で外れてゴミ箱にポトンって落ちるんです。初めて見たので、こんな風に作られているんだなと、すごくびっくりしました。
千星さん
入口のところで埃とかも全部取って、全員帽子をかぶって、品質管理もしっかり徹底されているなと改めて感じました。
あづ
確かにそうですね。もちろん中身もこだわり抜いて作っていますが、私たちは外側のボトルにもさまざまな思いを込めて作ってるので、その現場を見れたことの感動は大きかったですよね。
千星さん
そうですね。機械がやってるとはいえ、操作してるのは結局人なので、人の手で作ってるなっていうのはすごく実感しました。
Meray Beauty Channel
#56特許を取得している
詰め替え方式
あづ
工場に行く前に龍江精工の社長さんと担当者の方と一緒に、商品とか会社の説明を伺ったのですが、MERAYが採用している詰め替えのボトルの仕組みは特許を取っているとおっしゃってましたね。
千星さん
そうですね。MERAYのボトルは10種類ぐらいの特許を組み合わせてできています。リフィルをポンプに刺したら、注ぎ入れ不要でそのまま交換ができるというのが1番大きいポイントですが、それを実現するためにいくつかの特許を使っています。
あづ
手が汚れない詰め替え方式を褒めていただくことも多いんですが、簡単に真似できることではなくて、龍江精工さんにお願いしてるからこそ実現できている詰め替え方法なんだということを、みなさんにも知っていただきたいですね。
Meray Beauty Channel
#56グッドデザイン賞と
iFデザイン賞をダブル受賞
千星さん
今回このボトルでグッドデザイン賞という日本の賞と、世界三大デザイン賞の1つであるドイツのiFデザイン賞を受賞することができました。見た目の美しさももちろんありますが、手を汚さないで交換できるという点や、環境に配慮している点を評価いただきました。
あづ
しかも、龍江精工さんが特許を取ってる詰め替えボトルの中で、MERAYのボトルが初めて100mlのリフィルを使ったんですよね。
千星さん
そうですね。これまでは容量の大きいシャンプーとかでしか作っていなかったようなので、 これだけ小さいサイズで作るっていうのは過去に例がなかったそうです。リフィルを作ってくださってるメーカーさんが、初めは100mlで作るという話が出た時に断ったらしいです。
あづ
そうだったんですね。
千星さん
はじめは難しいからできないということだったんですが、龍江精工の社長さんがわざわざリフィルメーカーの担当者のところへ行って、こういうやり方だったらできるかもしない、などいろいろお話ししてくださったんだそうです。それでリフィル製作をされている技術者の方もトライしてくださり、なんとかできたとおっしゃっていました。見えないところでたくさんの人が動いてくれて実現したんです。
あづ
できあがったものだけを見ていたら、裏側にどんなエピソードがあったのかわからないので感動しました。
千星さん
他社さんのプロダクトと比べても、 非常に時間をかけて、こうでもないああでもないというようなやり取りがかなり多かったです。僕が経験したなかでは、サンプル製作の回数は過去最高でした。それも金型と成形する工場が一つになっていることが大きかったと思います。
あづ
そのやり取りのおかげで、美しいフォルムができたんですよね。
千星さん
フォルムもただの円柱みたいな形に見えるかもしれないんですが、このなんでもない形を実現するのが実はなかなか難しいんです。グッドデザイン賞を取った時にもいくつか詳細は書いています。
あづ
なるほど。
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#56美容業界初の
石灰石入りボトル
千星さん
あと、環境に配慮して、ボトルの素材としてプラスチックに石灰石を入れているのが、前例のないことでした。なので成形の現場でもやってみないとわからない部分もたくさんあり、すごく難しかったですね。また新しい素材にすることでこちらが想定してなかった良いこともありました。プラスチックは使っていくと、ネジで締める部分の表面が白くなってしまったり、どうしても劣化していくことが多いです。
千星さん
でもなぜかMERAYのボトルは長く使ってても、どこかが白くなったりなどの劣化があまりありません。お風呂場で使うと特に劣化しがちですが、その点が少ないというのは石灰石のおかげだと思います。想定外で良かったことでした。
あづ
石灰石を含んだマットなテクスチャーで、薄いピンクという色味を表現するのも難しかったんですよね。
千星さん
この色がいいというのは決めていたんですが、マテリアルが違えばまったく同じにはならないですし、同じ色だったとしても、実際のサイズになるとイメージしていた見え方にならない時もあります。
千星さん
なので、まずプラスチックのボトルになった時に「どういう色味でどう見えるか」みたいなことは、やなさんとかなり検証しましたね。
あづ
最初にやなさんの手元に届いた時は、どんな感じだったんですか?
やなさん
希望している色とは全く違う色が届きました。もちろん、千星さんが言ってくださったように今回のボトルでは石灰石を使っているので、どうしても狙った色にならないという問題がそもそもの根底にありました。なので、これに青みを足してほしいと伝え、またいくつかサンプルを出してもらいました。さらにその中の1つに再度調整をお願いして徐々に色味を合わせていきました。
あづ
なるほど。
千星さん
MERAYのピンクは色が薄いので、気温や湿度などちょっとしたことで色が変わってしまうんです。ピンクの色味が黄色っぽくならない、肌色っぽくならないようにという点は、ディレクションする上で非常に気を付けた部分です。肌色っぽくなると、急に年齢層が高い印象になりがちなので、青みの方向になるように指定していました。
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#56SNSでどう映るか
やなさん
しかもボトルを写真に撮った時にどう見えるかという部分も一緒に考えながら選んだので、難易度がどうしても高くなってしまったと思います。
千星さん
そこは僕もデザインしていて非常に勉強になりました。実物を見て、こちらがイメージしてる色にあっているかどうかで検証することが多いんです。それでもイメージしてる色にあわせるのは難しい。今回はさらにスマホで撮ってSNSにあげた時にちゃんと「MERAYと認識できるピンクになるか」みたいな視点で物づくりをすすめていったのが面白かったです。
あづ
私も覚えてます、その時のこと。2つボトルが届いて、いいなと思っていたAが写真で撮ってみたら薄く写ってしまって、逆に「これは違うかも」と思っていたBが写真に撮るとすごく可愛く見えましたね。
千星さん
そこまでの検証をするっていうのはなかなかできない経験ですし、それこそボトルとして仕上がってきていないと検証ができません。なので早いレスポンスで細かく調整してくださった龍江精工さんの存在は非常に大きいですね。
あづ
龍江精工さんに伺った際、最後に受賞をお祝いして、みんなでご飯を食べに行けたっていうのが個人的にはすごく楽しかったですね。
やなさん
みんなでお祝いできたのは、嬉しかったね。
千星さん
グッドデザイン賞とiFデザイン、この2つの賞を取るというのはなかなか難しいんです。特にiFデザイン賞を取ったというのは、かなり誇らしく思っていいことだと思います。
あづ
ぜひみなさんMERAYを使う時に、もちろん中身がすごくいいというのは大前提として、このボトル自体の美しさや、使いやすさなどの機能面も一緒に実感しながら楽しんでいただけると嬉しいです。
あづ
MERAYのメンバーは基本的にリモートで仕事をしているのですが、先日初めて全員が揃いました。MERAYのボトルを作ってくださっている工場に行ったんです。